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6:
列車は消灯時間。
僕は自分の車両まで戻るが、そこは余りにも近寄りがたい雰囲気になっており、中に入るのを一瞬ためらった。
床には新聞紙が敷かれ、その上に人がすし詰めに横になっている。眠った人で、通路は完全に埋まってしまっていたのだ。
自分の座席まで足の踏み場がない。
電車とは思えない風景だった。 |
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座席は単純なべンチ状のもので、日本とは違い下部が完全に空洞でまるまるスペースがある。
よく見ると、その座席の下から人間の顔や足が出ているではないかあ!
まさか座席の下さえ寝床になるとは・・。
僕の座席の足下からは数本の人間の生足が前後から"にゅっ"と飛び出していた。男女関係なしである。ぎょっとする光景だった。
すでに相方は眠っていた。僕は寝るにはあまりにきつい直角の座席や、人の脚部に占領されてしまっているスペースでなんとか眠りについた。 |
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次の日の午前8時頃、18時間を列車で過ごした僕らは、ようやく内陸の古都、西安に到着。
昨日の青年、リュー君が僕らの車両にやってきた。
彼は自分の故郷、西安を案内してくれるというのだ。宿の決まってない僕らにはラッキーな申し出だった。
ともあれ僕たちは彼について西安の町へと列車を降りていくのだったが・・。
おわり |
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その後、この旅の中で何度も列車に乗った。
最も高い一等の寝台車にも乗ったが、快適すぎたのか、その印象はほとんど残っていない。
旅の思い出を作るにはやはり長距離列車の硬座が一番であろう。(もう乗りたくないけど)
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