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４：
即席麺の匂いやら、煙草の匂いやらで混沌とした長距列車の最下級車両、硬座。
僕らは前の席に座っている家族と片言で話したりしながら、のどかな午後のひと時。
突如、とんでもない風景が目の前で繰り広げられ始めた。 |
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まず周りのおやじ達が、その食べ終わった弁当の空箱や、ゴミをポイポイと窓からほり投げ始めた。その空箱は、窓からのぞく中国の山水画の中へ螺旋を描きならが谷底へと消えていった。
漱石の"三四郎"でも汽車の窓から弁当をほおり投げるシーンがあったが、今ではなかなかお目にかかれない光景である。しかしそれで終わりではなかった。
よく見ると硬座の乗客は座席テーブル上のごみを、床にポイと捨てているではないか。
食べ物のごみ、空箱、麺のカップ、まるで床がゴミ箱のように実に潔い捨てっぷりである。当然、我らが硬座の通路はごみで埋まることとなる。 |
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さて、さらにカオスが増した車両に、しばらくすると車掌のおばちゃん達が昔中学校であったような、恐ろしく汚い色をしたばかでかいモップを持って登場。
それを濁った水の入ったバケツに浸すと、我々乗客におかまいなく床を掃除し始めた。
僕らは当然、足を宙に上げておく事を余儀なくされる。
そのビショビショのモップは、我が車両のごみというごみを、ブルドーザーのように通路から座席の下までをザザーとかき出していく。
唖然とする僕らを前にして、地面のあらゆる存在はモップに容赦なく根こそぎ持っていかれ、あとはびしょびしょになった床が残された。
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おそらくこの硬座車両にはゴミ箱などなかったに違いない。（覚えてないが）
確かにどうせ全て履き出すのだから、床にごみを捨てるのは一見合理的のようである。でも最初から汚さなければ、一々掃除する必要もないと思うのだが・・（笑）。
とにかく、この列車では日に何度かこのゴミとモップによる戦場が繰り広げられているのだ。
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