9.光る蟹、水槽
ドミトリー部屋に戻って仮眠した。
ここは大きな部屋を改造して、置けるだけ簡易ベッドが並べられた、
まるで病巣のような部屋だ。
中に共同のバストイレが一つある。
部屋のドアは閉まると鍵が掛かるので半開きにしてある。
要するに誰でも侵入出来るのである。
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部屋の電話がなった。
出ると男が英語で、そこにジェニーはいるか?と。
お前誰だよ・・。 |
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夜10時頃だったか目を覚ました。
ちょうど隣のベッドの、昼に
一緒に行動したたくちゃんがいて、
外へ散策に出ることになった。
何処を歩いたのか覚えがない。
人気のない裏道に、蟹やらを模した 中国独特の派手なネオンサインが
妖艶に光る。
また、巨大な水槽には亀やら魚が
うごめいていた。その青やら赤の色が埃っぽい路上に怪しい光を放つのだ。
まだ中国の空気に慣れないので
そんな通りですら恐ろしく緊張した。 |
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「俺たちここで拉致されて、人知れず何処かに売られても
全然おかしくないよな〜。」
こんなことを喋りながら歩いていた。
たくちゃんとはこの先の旅でも不思議な縁がある。
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