オステンドの悪夢 /ヨーロッパ編top |
オステンド
の悪夢 |
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act:1 スティーブ | |
act:2 見知らぬ場所
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act:3 覆面男 | |
act:4 夜のアーケード | |
act:5 長い一日は続く |
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act:6 夜の終わり、そして始まり |
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停留所と言っても、ちょっとした雨しのぎと、時刻表の看板があるだけの場所で、 |
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並木道でその奥に民家が見える。 地図もないので、とにかく道なりを歩くしかなかった。 しばらく歩くと前から自転車がやって来た。 感じのよい人に見えたので、すかさず街が何処なのか聞いてみた。 よくは分からなかったが、このまま道なりで間違いはないようだった。 しばらく行くと少し高そうなホテルがあった。 すこし安堵した。 野宿は免れそうだ。 でもとりあえず安ホテルを探したい。 ここは明らかに予算オーバーに見えた。 どれくらい歩いただろう、 思ったよりすぐに駅の大通りらしき所に出た。 駅前の大通りはヨーロッパらしく奇麗に芝生や花で整備されている。 駅の横は港のようだ。 その大通りの横沿いに建物が並んでいる。 その一画にホテルの看板が。 とりあえず、駅まで行けばATMでお金を下ろせるかもしれない。 結局、ここまですれ違った人は、道を聞いた自転車の人だけだった。 ..................................................................... 駅舎はまだ明かりが付いている。 そしてATMがあるのが見えた。 そこまで、ざっと100メートルくらい。 その横の階段に座っている人影が見えた。 何か覆面を被っているように見えるのだが。 変だな、どういう事だろう? 近づいて行くと、その人影の正体がうっすら見え始めた。 よく見るとそれは覆面ではなかった。 ぎょっとした。 顔面を入れ墨で埋め尽くした、入れ墨男だったのである。 それは覆面を被っているように見える程なのだ。 そのありえない風貌について、瞬時に浮かんだ様々な疑問を、上手く飲み込む事ができぬまま、でも 絶対に関わってはいけない危険人物であることは明らかだった。 こんな風貌でどうやって生活するんだろう? なんで、ATMの横にわざわざ座っているのだろう。 やばい・・・、僕はさっと踵を返す。 この覆面男の横でお金を下ろすなら、僕は野宿を選んだだろう。 ATMを諦めてそこからすぐ離れて、ホテルに向った。 |
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とりあえずさっき見えたホテルに入り、泊まれるか聞いてみた。 ここはベルギー、英語は公用語でなはく、フランス語、オランダ語、ドイツ語を使うらしいのだが。 まあ、僕はボンジュール以外喋れるはずもなかった。 ホテルマンなら英語は理解するだろう。 それでどうにか泊まれる事が判明したが、 次はお金である。 カードを使えるか聞いてみた。 フロントのおやじは 「オッフコぉぉおース、オッフコぉおおース」 と言った。 実はこの旅でここのホテルが一番まともなホテルだったのだが・・。 値段も5000程度でバス、トイレ付きである。 このフロントのオヤジにATMの場所を聞いた。 そのATMはさっきの駅前のではなく、 すぐ近くのアーケードの商店街の一角にあった。 アーケードの手前に教会があった。 街の中に突然現れる、その暗さと荘厳な雰囲気が、 ここがヨーロッパなのだという事を 改めて感じさせた。 その古さと街とのギャップは、 なんとも言えないほど不気味だった。 ........................................................................................ |
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