わくせいひつじの
映画メモ
わくせいひつじ08番/top 
映画「ブルーベルベット」について




人にお勧めするにはカルト映画指定される作品でもあるし、
当然そうした表現で構成されている作品なので、
人にお勧めする事をいつも避けてしまうし、
また映画一般にかかわらず、クリエーターの友人などに対しては
やはりまあちょいと見てみてよと、得意に言うには少し有名過ぎる作品でもある。

そのうえ久しぶりに見直してみて、実のところ果たしてこれが人にお勧めできる映画と言ってよいのか、
僕自身分からなくなってしまった。
つまるところ、この映画で表現している事を何か別の方法や設定でやれないものか、
と思うのはやはりこの作品で演じられている人間の醜態に対して強く嫌悪してしまうからだ。
だからこそこの映画がカルトと言われる所以なんだろうけど、それでいてやはり見ていて思うのだ、
一体なんだこの独特な空気感はと。


まずこの映画全体に漂う感覚は、何か自分が暗い小さな世界へ押し込まれている様な孤独感である。
それはモチーフとなっている「知らない世界を覗きみる」という物語としては当然の印象ではあるのだが、それがこのブルーベルベットでは特に使用されるポップスが、別世界へのトリップ感覚を強く印象付ける、まさに「覗き見る異常な世界」の不気味さを表現する重要なファクターとなっているのは間違いない。

監督自身、物語の着想は表題でもある曲、ボビーウィントンのブルーベルベットであると言う。
もちろん、もともとこれはごく普通のラブソングなのだ。
しかしこの映画を見てしまった後では元の音楽背景は大幅に消え失せ新たな意味付けがなされてしまう。
さらに、まるで変質者のテーマソングのようにロイオービソンの歌うインドリームが引用されている。
見たのもは二度とその曲の歪まされた印象を払拭することはできなくなるはずである。
その強烈な演出によって。
またその2つの曲の異様さとは別に、作品全体を宙に浮かばせる如く歌われる小品曲「愛のミステリー」が挿入される。
いわばこの映画そのものが、これらの曲の監督の独自解釈としてのP.V的作品に仕上がってると言っても過言ではないだろう。

だがこの映画の構成においてもう一つの重要な世界観がある。
それが光と闇の対立性ではないかと思うのだ。
もちろんたいていどの映画でもかならず対立する要素が必ずあって、それによりストーリーが成り立っているわけだが、この作品ではその単純な対立手法を踏襲し、さらに映像と音楽編集による極端な演出によって、2つの要素を強烈に際立たせることに成功しているのだ。

ストーリー的にはデニスホッパー演じる変質者達やイザベラロッセリーニ演じる歌手がいる闇と、ローラダーン演じる女子大生の純真さや美しい薔薇が咲いている日常世界との対立である。
(イザベラロッセリーニは、美しい女優にもかかわらず、その裸体さえ極端に醜く描かれている)
もちろん媒介するのは「覗き見」する主人公である。
そのカイル・マクラクラン演じる主人公(整い過ぎた顔がどこか不気味である)が異様で危うい闇の世界に近づくことで、必然的に光の部分が際立つ。
その異様な世界に引きずり込まれる我々観客達はダークサイドとは真逆に位置する美しい映像と、
光と闇が「裏表」になっている世界の神秘性に触れ、心打たれるのである。
「この世は不思議なものね」という台詞が表すように。
さらに、そうした闇の世界から光の世界へ抜け出た後のカタルシスが観客をある種の感動へと導き出していくことは言うまでもない。
それが映画のもう一つの主題になっていることは間違いないだろう。

というわけで、感覚の対立を通して日常世界に潜む生命の不思議さ、美しさを再発見する、という解釈がこのカルト映画の一つの見方なのではなかろうか。
良いか悪いかは別として。


ブルーベルベット (特別編) オリジナル無修正版 [DVD]
 1986 
 director :David Lynch

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さすらいの二人/アントニオーニ
ソニーピクチャーズDVD


誤訳を見つけた。
誤訳というか、直訳の方が意味が分かる。

果樹園で少女がキレるシーン。
なぜキレるか謎だったが、直訳すると少し分かる。

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★DVDバージョン

Dなぜついてくる?

Gさあね。


D君以外知り合いがいない、だが僕は・・・

D飯にしよう。腹が減った。

Gいや。

Dどうして?

Gあきらめるのは嫌い。



※D:デービット G:少女


★直訳バージョン


Dここで一緒に一体なにやってんだ?

Gどの私が?(もしくはどのあなたと?か)


D知ってるのは一人だけだ。他に誰もいない。
残りのすべては・・・

D飯にしよう。
年寄りの僕は腹が減った。

Gいや。

Dなぜ?

Gあきらめたくないから。

..........................ドラマの謎の推察:

二人の出会いは偶然なのだ。
ただデイジーはロバートソンの行く予定場所にはいた。

少女は多分デイジーなのだ。
手帳に最後のホテルの待ち合わせはデイジーと書いてあった。

そして彼女はロバートソンの奥さんであることは
最後のチェックインのパスポートで分かる。
それを偽造は出来ないだろう。
していても、少なくともロバートソンの知り合いではある。

最後の暗殺グループは、
ロバートソン(デービット)があのホテルにくる情報を
恐らく捕まえたゲリラを絞めて吐かしたのだろう。
デイジーが裏切ったわけではないのだ。

デイジーは知りたかったのだ。
ロバートソン(デービットではない)が何だったのか。
そして自分がこれからどうすればよいのかを。
それをデービットに託していた。


さすらいの二人 [DVD]

1975
ミケランジェロアントニオーニ