ベルギー上陸
1
睡眠不足のまま僕は、スティーブのBMWに乗り込む。
海は無事に渡ることが出来た。
後は、とりあえず街までいければなんとかなるだろう。
せっかく乗せてもらうわけだし、スティーブのテンションを下げるわけにはいかない。僕は、しんどいながらもご機嫌取りに、拙い英語で盛り上げようとがんばった。
「ヘイ、良い車だね!」「ヘイ、ここは何もないね!」
しかし、下船後、運転手スティーブはあからさまに不機嫌になっていた。
何を言ってもほとんどまともな返事がない。
この日本人は一体どこまで一緒にくるつもりなのだ?
そんなことを言いたげな空気が助手席に伝わる。
もしかしたら、スティーブは船賃の半分くらい出してくれるものと期待していたのかもしれなかった。
そのときは僕もそれに全然気がつかなかった。
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辺りの風景はタダッ広い荒れ地で暗く、何もない。
とにかく街まで行きたい。
僕は、街があればそこで降りたい旨を伝えた。
しかし、スティーブはそれすらも面倒くさげなのである。
「おれもここの土地の事を全然しらないんだ」
そういってスティーブはナビをちょろちょろと動かすのだが、
ちゃんと探す気など全くないのが丸分かりなのである。
(だってちゃんとしたナビがあるのに!)
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僕もいいかげん、この空気の中、車に乗り続けたくないのだが、
とにかく街まで行ってもらわないと困るのである。
時刻は夜10時をまわっている。
しかし、僕もだんだん腹が立ってきた。
まあタダで海を渡って逆切れもひどい話であるが、
なんてつまらん奴だと頭にきてしまったのだ。
イギリス人のくせに、まるで日本人みたいに言いたい事を言わないんだから。
その辺り島国根性が似ているのだろうか?
バスの停留所が見えたので、やけくそでそこに止めてもらった。
続く